AI Webtoonで難しいのは一枚の美しい絵ではありません。次のコマでも同じ人物が同じ服と小物を持ち、同じ場所で直前の行動を続けることです。安定した一話を作るには、変えてはいけない情報と、コマごとに変える行動・カメラ・感情を分離します。
本稿は2026年8月11日時点のGoogle、OpenAI、Midjourney、Adobe、C2PAの公式資料を確認しました。完全な一貫性を保証するサービスはないため、特定モデルより検証可能な制作工程を重視します。

1. 一話の制作契約を先に書く
出来事を一文にします。「成人配達員ミラとドローンのボリが、雨の屋上で落下する配送ケースを救う」。続けて連続性台帳を作ります。
| 領域 | 一話を通して固定 | コマごとに変更 |
|---|---|---|
| キャラクター | 顔、髪、目、衣装、小物、体格 | 表情、ポーズ、視線 |
| 空間 | 時間、天候、地形、目印 | カメラ、レンズ、距離 |
| 事件 | 目的、因果、小物の状態 | 行動、速度、強調点 |
| 描画 | 線、色、光、比率 | コマ寸法、余白、効果 |
「美しい女性」ではなく、短い黒髪、左こめかみ上の青緑の三角ピン、琥珀色の目のように確認できる特徴を書き、固定ブロックを再利用します。
2. キャラクターバイブルを承認する
正面一枚だけでは横・後ろ・表情・小物が揺れます。正面、3/4、側面、背面、表情、単体小物、色見本をまとめます。一枚だけ美しいデザインより、多角度で再現しやすいデザインを選びます。

Googleは前の生成結果を後続ターンへ戻す連続画像制作を説明し、OpenAIも参照画像、反復編集、維持要素の明示を推奨します。参照可能数はモデルで異なります。実務では「同じ人物」と書くだけでなく、承認した設定表と直前の承認コマを一緒に渡します。
再利用する固定ブロック
~~~text 承認済み設定表を同一性の基準にする。 成人女性ミラ:短い黒髪、左こめかみ上の青緑三角ピン、琥珀色の目、 クリーム色肩パネル付き青緑ジャケット、黒いハイネック、濃色作業パンツ、 橙色の丸い留め具が一つあるクリーム色クロスケース。 ボリ:クリーム色の球体、シアンのカメラ眼一つ、短いフィン二つ。 顔、髪、衣装、色、体格、小物数を変更しない。 ~~~
3. 台本を視覚的ビートに分ける
場所、発見、決断、行動、結果、感情の六つに分けます。誰が何をし、前のコマから何が移動し、次のコマで何を確認するかを書きます。台詞より因果が先です。

絵コンテでは画面方向と地理を確認します。右へ走り始めたミラを理由なく反転させません。ケースの落下位置、屋上の隙間、ボリの位置を記録します。
4. プロンプトを固定部と変化部に分ける
~~~text [固定] 承認済み設定表と直前の承認コマを参照し、同一性、衣装、小物、 雨のブルーアワーの屋上地形、線画とセル塗りを維持する。
[このコマ] 行動:ミラが狭い屋上の隙間を右へ跳ぶ。 カメラ:弱いローアングルの全身ワイド、進行方向に余白。 連続性:ケースは右下へ落下中、ボリはケースの上。 感情:恐怖より決意を先に見せる。
[禁止] 髪、目、ジャケット、ケースの変更、人物追加、手足重複、偽文字。 ~~~
Midjourney V7ではOmni Referenceを人物・物体、Style Referenceを色・素材・光などに分けます。公式文書ではOmni Referenceは一枚で、重みを上げすぎると問題が生じ得ます。Fireflyもスタイル参照と構図参照を分離し強度を調整します。同一性・スタイル・構図を別の制御として扱うことが重要です。
5. 一話を一括生成せず一コマずつ承認する
- 第一コマを顔・色・空間の基準として承認する。
- 次の生成に設定表と直前の承認コマを渡す。
- 顔、手、小物の小さな失敗は部分編集する。
- 承認済み結果だけを次の参照にする。
- 3〜5コマごとに台帳と再照合する。

| 失敗 | 主な原因 | 修正方法 |
|---|---|---|
| 顔が変わる | 顔参照が競合 | 設定表一枚と直前承認コマを優先 |
| 衣装が変わる | 固定特徴が曖昧 | 色、位置、個数を明記 |
| 背景が移動 | 地理台帳がない | 小さな平面図を作りカメラだけ変更 |
| 行動が読めない | 一コマの事件が多い | 開始、頂点、結果を分割 |
| 手と物の接触不良 | 複雑な動作を一括生成 | ポーズを単純化して局所修正 |
6. 吹き出しと台詞は最後に編集する
画像内文字は改善していますが、長い台詞、書体、校正、翻訳は編集可能なベクターテキストの方が扱いやすいです。生成時に空白を確保し、出版ツールで台詞を入れます。

吹き出しで顔や重要な手を隠さず、モバイル幅で読み直します。英語と日本語では長さが変わるため言語ごとに吹き出しを調整し、画像に一言語を焼き込みません。
7. 権利と制作履歴を残す
自作または利用許可のある参照だけを使います。存命作家の模倣名ではなく、線、色、光、素材、時代感を説明します。商用公開前に最新規約を確認します。
C2PA Content Credentialsは出所、編集、AI利用を記録できます。ただし全サイトで保持されるとは限らないため、原本、プロンプト版、参照権利、編集ログも別に保存します。
公開前チェック
- [ ] 顔、髪、目、衣装、小物数が全コマで一致
- [ ] 地形と画面方向が前後で連続
- [ ] 一コマに重要な行動が一つ
- [ ] 手と物の接触を拡大確認
- [ ] 台詞は編集レイヤーでモバイル可読
- [ ] 言語ごとに吹き出し寸法を確認
- [ ] 参照権利、生成ツール、修正履歴を保存
一貫性は一度の幸運な生成ではなく、承認した判断を次のコマへ伝える工程です。
確認した公式資料
- Google Gemini画像生成
- OpenAI GPT Image 2プロンプトガイド
- Midjourney Omni Reference · Style Reference
- Adobe Fireflyスタイル参照 · 構図参照
- C2PA Content Credentials解説
機能、価格、参照数、利用条件は変更されます。制作前に各サービスの最新文書と規約を確認してください。